〜何もわからない状態から始めて理解したこと編(5)〜
またしてもものすごい日が開いてしまいました。
去年の記事ですが、フォーブスの記事によるとリーガルアシスタントはアメリカで最もアンパッピーな仕事第7位だそうな。
ちなみに弁護士(パートナーではなくアソシエイト)は第1位。
http://www.forbes.com/sites/jacquelynsmith/2013/03/22/the-happiest-and-unhappiest-jobs-in-america/2/
冗談のように忙し過ぎて帰ったら何もする気が起こらないだとか元気を全て仕事に吸い取られるだとか言って同僚と話しますが、こりゃ笑いごとじゃない。
訴訟は特に何も生み出すわけじゃない、起こってしまったことの事後処理のようなものなのでそういう意味でも納得なのかと考えたり。
逆に言うと常に上を見てて満足することがない人が多い業界、職種でもあると思うのでそういう人にアンケート取ったらポジティブな意見は返ってこんわな、という見方もあるかもと思ったり。
さて、今日はprivilege logのお話です。
繰り返しになりますがこれは翻訳者の観点から見たものです。
パラリーガルにはまた別の役割があります。
そう、privilege logはパラリーガル、若手弁護士、そして外国文書がある場合には翻訳者が、嫌でもたっぷり時間をかけるものの一つなのです。
何万もあるドキュメントレビューが終わり、達成感に浸っていた頃のことと思います。
さぁまた一緒に文書を見よう、と弁護士から言われた気がします。
この頃には一つのプロジェクトを達成したことで弁護士との信頼もだいぶできてきていたように思います。
夜遅かったり、1日10時間以上一緒に仕事していたらお互いのこともだいぶわかってきますし、色んな本音トークもした気がします。
そんな感じでまぁもう私はわかっている、ぐらいの余裕をかまして次のプロジェクトに臨んだわけです。
それがプリバレッジログ(privilege log)を作る作業でした。
正直何をしているのか一切わかりませんでした。
また得意の何のためにやってるかの説明もない状態だったので作業としては一度見た文書をもう一度見るというもの。
しかも見る文書はまた何千とある。
なんで?
と頭はハテナだらけでした。口に出しても言った気がします。
実はこれには別の目的があったのです。
それは、レビューにおいて、privilegeのカテゴリーに振り分けられ、相手に渡さなかった文書がなぜprivilegeなのか、なぜ相手に渡さなかったのかを説明するためです。
説明の方法は、日付、作者、受取人、文書の種類、件名•タイトル、文書がprivilegeであることの根拠の説明、privilegeの種類を一覧にして相手方に渡す、というものです。それを相手方が見て、反論があるようならその旨作成した当事者に申し立てます。
大体の場合において、このprivilege logには提出期限が設けられており、同じ日に双方が自分の作成したprivilege logを相手に渡し、また期限を切ってそれに対する反論をする日に反論の内容を書いた書面を交換します。
その反論期日までに相手に渡されたprivilege logを見て、何か疑わしいところはないか(相手方が、自分の不利になる、こちらに有利になる情報を隠そうとしてないか、privilegeの判断が誤っていないか)等の確認をします。疑わしいものがあれば、この文書はprivilegeじゃないと思われるので直ちに渡しなさい、もしくはprivilegeであるというならその理由をもう少し詳しく述べなさい、と相手に求めることができます。
それで両者の争議が始まるわけですが、いくらやりあっても解決されない場合は裁判官にprivilegeかそうでないかの判断を委ね、命令を出してもらう場合もあるようです。そういったものが先例となり、特にprivilegeの範囲がグレーゾーンにあるような内容のものについては、過去の件における命令がprivilegeがどの範囲のものに適用されるかの判断のもととなるようです。ロースクールではそういったことの勉強もするようです。
なので、弁護士でなければprivilegeか否かの判断をしてはならず、そのために弁護士とペアになって何時間も何週間もかけて効率悪い方法でprivilegeとそうでないものの振り分けをしていたのでした。
と、これはだいぶ後になって分かったことなのですが。
さて、privilegeという言葉を多発しているわけですが、一体privilegeとは何なのか。
それは、長くなったので次回のお楽しみということで…
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